ユリゴコロ 沼田まほかる
ありふれた、幸せな家族に次々と起こる不幸。
父の病気、予期していた父の死に先立って訪れた母の交通事故死、「僕」の彼女の失踪。
悲しみと失意の中、「僕」は父の部屋で偶然、何者かによって書かれたノートを見つける・・・。
そのノートに書かれていた衝撃の内容を読み進める間中、恐怖と好奇心で胸がドキドキと高鳴り、途中でやめることができなかった。
その引きずりこまれるような面白さは物語の最後まで続き、結末も読者を裏切らない驚きの展開だ。
特に、ノートに書かれた手記の奇妙な、でも魅力ある文章表現に心から驚いた。
沼田まほかるの作品は「猫鳴り」で初めて読み、その深さと面白さを知っていたので、今回も期待して読んだが、その期待以上の作品だった。